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人生はノーサイン
今夏の甲子園を目指す青森県大会の決勝、青森山田―弘前学院聖愛戦を見ていて
今まで見慣れた高校野球とどこか違うと感じた。
どこが変なのかと思ったら、聖愛の打者や走者がベンチを見ないのだ。
普通は1球ごとに、ベンチの監督のサインをうかがう。
聖愛は違って、ノーサインでゲームを進める。
選手が状況判断し、バントか強打か、走者は走るか自重するかを決める。
選手たちがひとりでに動き、得点していくさまは、マジックをみるようだ。
ノーサインのきっかけは、聖愛を率いる原田一範監督が、
企業人の研修会で「人の指示でしか動けない人間は今後通用しない」と聞いたときに始まった。
選手をサインで縛ってばかりでいいのか。
高校野球が終わってからも続く人生において、
誰の指図でもなく、自分で考え、決めていくことが大切、と考えた。
弘前学院聖愛は、ノーサインにして、もう長い。
最初、『聖愛は勝つのを諦めた。』といわれたそうだが、3年前の夏、甲子園に出場。
今年の決勝も青森山田を前半2-0とリードした。自主判断による2盗塁が効いた。
結末は聖愛に酷なものとなった。2-4で迎えた九回、同点二塁打かと思われた打球が外野フェンスに
挟まり、4点目の走者が三塁に留め置かれ、試合はそのまま終了。
ドラマが閉会式の入場行進にあった。
選手たちは無念を隠し、帽子を手にとって振り、笑顔さえ浮かべ、
応援席と大会関係者に感謝を伝えた。
見る側も救われただろう。
周りがみえていないとできないことだ。
念のため、監督は貴田光将(こうすけ)主将に『もし勝っていたらどうした?』と尋ねた。
主将は「相手の気持ちを考え、何もせず行進したと思います。」と答えたそうだ。
自分で考える野球の結実だった。
社会に出ても、打球がフェンスに挟まるような「まさか」がある。
そんなとき、いちいち指示してくれる人がいるとは限らないが、この選手たちならば……。
ノーサインの人生に立ち向かう心構えはできたと確信した。
仕事もそうだと思います。
指示待ちではなく、自分で考え、相談し、何がお客様の為になるのかを
自発的考え行くことが、成長につながると私は考えています。