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直近の不動産市況予測
2022.05.09

現段階での不動産市況において、新築マンションの価格は、2013年から3割~4割ほど値上がりしている。中古マンションも立地によっては同様に上がっており、直近1年間だけでも10%程度値上がりしたとされる。1坪当たりの単価で見ると強含みの価格が分かりやすい。東京カンテイによれば、「東京都の新築価格は坪401.3万円となっている。この単価ベースで見ると、1990年と1991年のバブル経済期にまだ届いていない。1990年の単価は464.1万円、1991年は444.7万円である。つまり、バブル期を天井とすると、90年代バブルの8割水準で価格は上昇余地を残していることになる。もっとも、バブル崩壊以降、個人の収入が減っているので単純比較はできないが、坪単価が500万円ほどまで上がる可能性がある」とのことです。

この直近の不動産市況から、ウクライナ情勢・インフレ・円安の状況下においての日本の不動産市況予測を考えてみました。基本的な概念を先ずおさらいしてみます。
①戦時下においては現物試算が強い
戦時下では食糧・原油・金などの現物資産が強くなります。これは戦時下はインフレが起きやすく、インフレが起きるとお金の値打ちが下がり、相対的に現金が目減りするのです。現金から資産をモノ変えようとし、不動産を含む現物資産の価格は上昇傾向となります。
②インフレ時には不動産は強い
不動産はインフレに強く、インフレが起きやすい戦時下は不動産は買いと言えます。インフレにより通貨の価値が下がれば、不動産での借入金は「実質的な返済負担」が減ることになります。
③円安における不動産市況
日本は地政学的に見ても最もカントリーリスクが低いAランクと評価されたアジアでは希少な地域です。OECDによって発表される国別のカントリーリスクでは、アジア圏内では日本とシンガポールのみがAランクに認定されています。カントリーリスクが低いということは、不動産の価値が急降下することはないと考えられます。したがって、日本への投資はリスクの低い投資として海外投資家に歓迎され、世界経済が混乱をすると投資家のリスク回避のために、安全資産である円が買われるのと同様不動産価値も上がりやすい性質があります。

以上のことと直近の不動産市況から考慮する。
景気が悪化すれば住宅・不動産市場にも影響は及ぶが、現在のところその気配は見られない。分譲マンション市場は、新築にとどまらず中古の価格上昇が止まらない。この現象から価格が天井を打つのはいつかが気になるが、価格が下がる材料は今のところ見当たらない。もちろん、このまま価格が上がり続ければ所得環境との見合いから消費者の買い意欲を冷やすことにつながるが、住宅ローンの低金利が引き続き下支えするのであろう。来年2023年の4月の黒田東彦日銀総裁の任期までは、日銀の金融政策であるマイナス金利を維持するのであろう。
現状維持の状況がしばらく続きそうな気配であることは間違いなさそうであろと筆者は考慮している。